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展覧会の裏側では、こんなことをしています 夢の美術館~めぐりあう名画たち~展から

2017.5月号

美術hiroba
美術館へ行こう! 
北九州市立美術館 
学芸員 重松知美

 現在、改修工事のため長期休館中の北九州市立美術館本館と、福岡市美術館。偶然にも同時期に休館に入った2館のコレクションが西日本の6会場を巡回する展覧会「夢の美術館~めぐりあう名画たち~」展が開かれています。
 本誌2月号では同展の概要についてご紹介しました。今号は、同展の展示作業から、展覧会の舞台裏についてお話ししたいと思います。 
 美術館の所蔵作品を他の美術館で展示するには、まず作品を所蔵する美術館と作品を借りる美術館(展覧会を開く美術館)との間で手続きを行います。そして作品を安全に梱包し、輸送し、開梱し、展示作業を行います。学芸員の指示のもと、専門の知識と技術を持つ美術品取り扱い業者が作業を行います。 
 それでは、作業の様子を見てみましょう。油彩画の場合、1点ずつ作品に合わせた専用の梱包箱が作られます。写真1の箱は3重構造になっていて、その作品が隙間なくぴったりと収まります。衝撃による絵や額縁の破損や、温度、湿度の急激な変化など、輸送時にダメージを与えないための工夫が施されています。写真2は、作品を箱から取り出し、包みを開いたところです。この作品の額縁にはガラスのカバーがないので、シートや梱包箱の面が絵の表面に当たってしまう危険があります。そこで、額縁にひもをかけて接触しないように工夫しています。

写真1 箱から保護シートに包まれた作品を取り出す
写真2 ガラスカバーのない作品は、ひもをかけて画面を保護する

 次に、学芸員による作品点検を行います(写真3)。絵の具層に新しいひびや剥落(はくらく)がないか、額縁が欠けていないかなど、隅々まで確認します。

写真3 学芸員による作品点検作業

 点検を終えた作品は、展示レイアウトに沿って展示し(写真4)、展示作業が終わると、照明を当てていきます(写真5)。照明は見やすくなるだけではなく、その作品を引き立たせ演出をする効果もあり、会場の雰囲気も左右する大切な作業です。

写真4 作品を展示する様子。作品は当館の代表作、ドガ《マネとマネ夫人像》
写真5 ライティングの様子

 このようにして出来上がった展覧会「夢の美術館」展。当館の常設展でおなじみの作品たちが、現在は熊本県立美術館の展示室で、また違った魅力を見せてくれています。 
 今回は展覧会の舞台裏をご紹介しました。裏話を思い出しながらご鑑賞いただければ、いつもと一味違う鑑賞がお楽しみいただけるかもしれませんよ。



Event
〈巡回スケジュール〉
福岡市美術館・北九州市立美術館名品コレクション
夢の美術館~めぐりあう名画たち~展
熊本県立美術館
2017年4月11日(火)~5月28日(日)
久留米市美術館
2017年6月3日(土)~7月16日(日)
宮崎県立美術館
2017年7月22日(土)~9月3日(日)
島根県立美術館
2017年9月12日(火)~10月23日(月)
※詳しくは各会場のホームページでご確認ください