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「鋼の錬金術師展」
2018年10月号
漫画・映画
2018年9月28日
CulCul特集
北九州市漫画ミュージアム
学芸員 石井茜

荒川弘描き下ろしイラスト
月刊『少年ガンガン』(スクウェア・エニックス)で2001年から10年まで連載され、骨太な世界観とパワフルでスピード感あふれるアクション、そして心揺さぶる物語で圧倒的支持を得た荒川弘(あらかわひろむ)による少年漫画「鋼(はがね)の錬金術師(れんきんじゅつし)」。アニメをはじめとする数々のメディアミックスを経て、その人気は海外にも及んでいます。全世界シリーズ累計発行部数7000万部を超える大ヒット作「ハガレン※」の世界を、約200点に上る貴重な生原稿で振り返る「鋼の錬金術師展」が10月13日(土)から始まります。
作者の荒川弘は1999年にデビューの後、初連載作として「ハガレン」をスタートさせます。錬金術と呼ばれる、物質を分解・変化させ新たなものを構築する特殊な科学技術が研究されている世界。兄弟で錬金術を学ぶエドワードとアルフォンスは死んだ母親を生き返らせるため、この錬金術の中でも禁忌とされている「人体錬成」に挑み、失敗。代償として兄のエドは左足を、弟のアルは肉体全てを失ってしまう。エドは己の右腕を犠牲にすることでアルの魂を鎧(よろい)に定着させ、自身の欠けてしまった肉体に鋼製の機械鎧(オートメイル)を装着する。その後、軍直属の国家錬金術師(通称“鋼の錬金術師”)となったエドは、弟の身体(からだ)を取り戻すカギとなる「賢者の石」を求めて旅に出るも、大きな陰謀に巻き込まれていく――。
犯した罪によって重い十字架を背負うエドですが、彼は不屈の精神と抜群の行動力で、アルと共にさまざまな試練を乗り越えていきます。人と出会い、また別れを経験することで成長していくエドと共に、読者の私たちは「生命の尊さと美しさ」に気付いていきます。この卓越した物語性こそが、連載終了してもなお、本作が熱狂的に愛される大きな理由でしょう。

単行本1巻 カバー
本展では、連載初期から最終話に至るまで、「ハガレン」の世界を六つの章でひもときます。読者の心に深く刻み込まれている名シーンの直筆原稿をはじめ、単行本や掲載誌の表紙として描かれたカラーイラストレーションなどを間近でご覧いただけます。デビュー当初から桁違いの画力と構成力を持っていた作者の、技術と力を込めた原稿は迫力の一言。ぜひ会場で、雑誌とも単行本とも違うパワーを感じてください。
また、「ハガレン」が愛される重要な要素といえば、個性豊かで魅力的なキャラクターたちも外せません。愛すべきキャラクターたちの姿と楽しい掛け合いが描かれた新作4コマが掲載されたブックマーカー(栞)を有料入場者特典として配布しますので、こちらも必ずゲットしてくださいね!
※「鋼の錬金術師」の愛称
ⒸHiromu Arakawa/SQUARE ENIX
Information
「鋼の錬金術師展」
【開催期間】
10月13日(土)~12月9日(日)
【会場】
北九州市漫画ミュージアム企画展示室(あるあるCity5F)
【開館時間】
午前11時~午後7時
(入館は午後6時30分まで)
【休館日】
毎週火曜日
【入館料】
一般1000円
中高生500円
小学生250円
※小学生未満無料
※詳しくは北九州市漫画ミュージアムのホームページをご覧ください
http://www.ktqmm.jp/
【お問合せ】
北九州市漫画ミュージアム
093(512)5077
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