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ジョルジュ・ルオー 聖なる芸術とモデルニテ

2019年1月号

美術・展示

2018年12月28日

美術hiroba
美術館へ行こう!
北九州市立美術館
学芸員 河村朱音

 20世紀フランスを代表する画家、ジョルジュ・ルオー(1871~1958年)。敬虔(けいけん)なキリスト教徒であり、生涯にわたって数多くの宗教主題を描きました。本展は、人間の苦悩から慈愛や赦(ゆる)しまでを表現したルオーの画業の軸である「聖なる芸術」に焦点をあて、四つの章によりその意味と現代性(モデルニテ)を改めて問います。

《ヴェロニカ》1945年頃 ポンピドゥー・センター パリ国立近代美術館蔵
Photo Ⓒ Centre Pompidou, MNAM-CCI, Dist.RMN-Grand Palais / image Centre Pompidou, MNAM-CCI / distributed by AMF


 第1章では、ルオーが40代から取り組んだ、銅版画集『ミセレーレ』を取り上げます。「聖顔」「磔刑(たっけい)」「受難のキリスト」といった、宗教主題が集約された版画集構想のきっかけは、1912年の父の死でした。第1次世界大戦の悲惨にも直面し、15年間かけて主題を深め27年に完成しますが、出版されたのは48年でした。構想から出版まで約36年という長い年月の中で残された、多くの下絵や未採用作品、類作も併せて『ミセレーレ』の重要性を再考します。

《聖顔》1946年頃 ヴァチカン美術館蔵
Photo Ⓒ Governatorato S.C.V. – Direzione dei Musei


 第2章では、ルオーの数ある主題の中でも特異な存在である「聖顔」に注目します。国立美術学校を退学したルオーは、新しい画風を切り開いていた04年頃に、独自のキリスト像を描き始めました。その後、『ミセレーレ』で図像として確立し、最晩年まで描き続けました。1898年、撮影に成功した「トリノの聖骸布」(キリストの遺体を包んでいたとされる布)や「ヴェロニカの聖顔布伝説」など、同時代の事象にルオーが強い関心を持っていたことにも着目し、独自の図像を生み出したその創作の背景と作品に込めたメッセージを探ります。
 第3章では、39年に出版された版画集『受難』をもとに、関連の作品までを取り上げます。特に30年代からの制作において、絵の具を「削り取る」から「積み重ねる」方法へ移行したルオーの油彩画は、立体的な盛り上がりをもつようになりました。『受難』の制作を通して、作品のマチエール(画肌)があたかも「受肉」し「物質」へと変貌していくその過程を辿(たど)ります。

《キリスト教的夜景》1952年 ポンピドゥー・センター パリ国立近代美術館蔵 Photo Ⓒ Centre Pompidou, MNAM-CCI, Dist. RMN-Grand Palais /Philippe Migeat / distributed by AMF


 第4章では、30年以降の制作の中核をなす「聖書風景」に着目します。実在の風景ではない、信仰に基づいた風景画には、市井(しせい)の人々と交わるキリスト、塔のある建物、樹木、奥へと続く道、水平線といった限られた対象物が登場します。定型を反復するように繰り返し描かれた作品群はある種のユートピアといえ、暖かく親密な空気に満たされたその情景は、ルオーが晩年に到達した境地といえるでしょう。
 同時代の社会や人間に対する画家の深い理解と共感から生み出された作品は、文化の違いや国境を越え、今なお多くの人々を惹(ひ)きつけています。ヴァチカン美術館が初めて日本に出品する作品群や、国内外のルオー晩年の傑作により、画家が目指した美しい愛のかたちをご高覧ください。

 
Event
〈記念講演会〉
 「“礼拝堂=美術館”アッシー教会とルオーのステンドグラス
 ―1950年代の『聖なる芸術(ラール・サクレ)』をめぐって」

【日時】
 1月20日(日)午後2時~

【講師】
 後藤新治(西南学院大学教授・本展監修者)

【会場】
 北九州市立美術館本館 アネックス棟3Fレクチャールーム
 ※聴講無料、定員100名(先着順)

〈学芸員によるギャラリートーク〉

【日時】
 2018年12月27日(木)、1月10日(木)、2月7日(木)
 各回午後2時~(30分程度)

【場所】
 展覧会場内
 ※申込不要、ただし本展観覧料が必要です

 
Information
ジョルジュ・ルオー
聖なる芸術とモデルニテ

【会場】
 北九州市立美術館本館

【会期】
 2018年12月16日(日)~2月17日(日)

【休館日】
 月曜日(ただし月曜日が祝日・振替休日の場合は開館し、
 翌火曜日が休館)、12月29日~1月1日

【開館時間】
 午前9時30分~午後5時30分
 (入館は午後5時まで)

【観覧料】
 一般1200(1000)円
 高大生800(600)円
 小中生600(400)円
 ※( )内は前売りおよび20名以上の団体料金
 障害者手帳提示の方は無料
 年長者施設利用証提示の方は2割減免

【お問合せ】
 093(882)7777


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