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ピアノコンクールの持つ志向や美学
2018年11月号
音楽
2018年10月31日
いろはにぴあの 永野栄子
全日本ピアノ指導者協会(PTNA・ピティナ)という創業50年を超える団体、ここの役員にKさんという方がいらっしゃいます。東大法学部卒業後、同団体に就職。以後、日本のピアノ教育界に尽力してくださっています。東大入学時には、「将来、官僚になって社会を変えていく」と揚々としていたのが、「政治には限界がある」と悩み、その頃に音楽に出合ったそうです。「音楽には希望がある。世の中を動かすことができるかもしれない」。
仕事の傍ら、自費で世界中のピアノコンクールや教育現場を見て回ったそうです。日本の教育に何が足りないのか、何が必要なのか。自身の目で確かめ、問題を提起し、実際に子どもたちの演奏を聴き、目を配り、自分の知識を惜しみなく伝え、叱咤激励(しったげきれい)してくれます。
星の数ほどピアノコンクールはありますが、主催陣によって有り様(よう)はさまざまで、そのコンクールの持つ志向や美学は、不思議と参加者の演奏にも反映しているように思われます。ピティナが飛躍的に伸びているのは、組織を構成する方々の音楽への本気の取り組みがあってこそ。
毎年5万人ほどの参加者であふれるピティナコンペ。参加者には、このようなスタッフに支えられていることを知ってもらい、ここを経た若者たちが将来社会貢献してくれることを願います。
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