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ブルーノ・ムナーリと日本

2018年7月号

美術・展示

2018年6月29日

美術hiroba
美術館へ行こう!
北九州市立美術館
学芸員 奥田亜希子

 
 
 北九州市立美術館分館では、8月26日まで「ブルーノ・ムナーリ」展を開催中です。
 昨年10月号でも紹介したブルーノ・ムナーリ(1907~98年)は、20世紀イタリアを代表する芸術家、デザイナーであり、絵画、彫刻からグラフィック・デザイン、インダストリアル・デザインに、絵本、子どものための遊具まで幅広い分野の仕事を手掛けました。
 日本で最も知られたイタリア人デザイナーであり、知る人ぞ知るムナーリですが、日本の芸術家たちとの親交もその一助となったと考えられます。まずは、日本にムナーリを紹介した立役者ともいえる、瀧口修造。近代日本最大の美術批評家の一人である瀧口は、1958年の欧州旅行の際にムナーリの自宅を訪ねてから親交を深め、65年の日本初個展の開催にも尽力しました。富山県美術館には、瀧口の旧蔵品約700点からなる「瀧口修造コレクション」が置かれていますが、その中には、本展に出品されている《旅行のための彫刻》(図1)など、ムナーリ自身から瀧口に贈られた作品も含まれています。
 

図1 《旅行のための彫刻》1965年 富山県美術館

図1 《旅行のための彫刻》1965年 富山県美術館

 

 瀧口をメンターとする戦後の若手芸術家集団「実験工房」出身で、日本を代表する前衛作曲家である武満徹は、ムナーリから贈られた〈読めない本〉の一つを使って、音符ではなく、図形・図案によって記譜する図形楽譜で《ムナーリ・バイ・ムナーリ》を作曲しました。さらに、ムナーリが自身の映像作品へ武満の音楽を使うことを瀧口に相談する手紙も残っています。

 

 図2 《時間X》1963年 ジャックリーン・ヴォドツ・エ・ブルーノ・ダネーゼ財団

図2 《時間X》1963年 ジャックリーン・ヴォドツ・エ・ブルーノ・ダネーゼ財団
Photo by: Roberto Marossi. Courtesy Fondazione Jacqueline
Vodoz e Bruno Danese

 
 北九州では《太陽の橋》の作者として知られるデザイナー、福田繁雄も、ムナーリに多大な影響を受けた一人です。60年に東京で開催された「世界デザイン会議」に参加したムナーリが、文字盤のない時計《時間X》(図2)への、時間の分からない時計なんてという批判に対し、これはデザインの「遊び」で、デザインには自動車のハンドルと同じように「遊び」が必要だと語ったことに感激したことが知られています。この経験が、福田作品の特徴である「遊び」の源と言えるかもしれません。
 ムナーリも、自身の名前の日本語の意味するところが「無なり」であることを非常に気に入って著述の中で言及したり、本展のキャッチコピー「役に立たない機械をつくった男 Quellodelle Macchine Inutili」の出典でもある自作の年譜(代表作とその主な制作年の列記)の中に「盆栽のひと Quello deiBonsai」という一文が入っていたり、日本での展覧会を契機に竹の花入れをデザインするなど、日本文化に深い関心を寄せていたと考えられます。展覧会場でも、折りたたんで小さくすることのできる《旅行のための彫刻》やランプシェード、日本の伝統的な見立てに通じる《みたての石》(図3)、表意文字への関心を示す《木々》(図4)など、そこここで日本文化との不思議な共通点が見つかるでしょう。
 

図3 《みたての石》1985年 特定非営利活動法人市民の芸術活動推進委員会

図3 《みたての石》1985年 特定非営利活動法人市民の芸術活動推進委員会


 

図4《木々》1993年 バッコリ・コレクション

図4 《木々》1993年 バッコリ・コレクション

 
 展覧会は、未来派に参加していた最初期の絵画から、最晩年のスウォッチまで、作品約300点で構成され、ムナーリの造形理念の再検証を試みています。有用無用にこだわらない自由な発想で、生涯「役に立たない機械をつくった男」、ブルーノ・ムナーリの世界をぜひお楽しみください。
 
Ⓒ Bruno Munari. All rights reserved to Maurizio Corraini srl. C ourtesy by Alberto Munari
 

Event
学芸員によるギャラリートーク
【日時】
 6月24日(日)、7月8日(日)、7月22日(日)
 各回午後2時~

【会場】
 北九州市立美術館分館展示室
 (リバーウォーク北九州5F)
 ※事前申し込み不要、ただし本展観覧料が必要です
 
Information
ブルーノ・ムナーリ 役に立たない機械をつくった男
【会期】
 6月23日(土)~8月26日(日)
 ※会期中無休

【開館時間】
 午前10時~午後6時(入館は午後5時30分まで)

【観覧料】
 一般1100(900)円
 高大生600(400)円
 小中生400(300)円
 ※たんけんパスポート、こども文化パスポートの適用あり
 ※( )内は前売りおよび20名以上の団体料金
 障害者手帳提示の方は無料
 年長者施設利用証提示の方は2割減免

【お問合せ】
 北九州市立美術館分館
 093(562)3215
 


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