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令和3年度特別企画展「松本清張と東アジアⅡ(仮称)」開催にむけて

2021年3・4月号

文学

2021年2月26日

文芸hiroba
清張アラカルト
北九州市立松本清張記念館
学芸担当主任 中川里志

 2020(令和2)年は新型コロナウイルス感染防止対策に翻弄された1年でした。北九州市の文化事業として、3月28日に開幕式典を行う予定であった「東アジア文化都市」事業がイベントの中止・延期を余儀なくされたことは、痛恨事でした。松本清張記念館も、「東アジア文化都市」関連事業として計画していた特別企画展を中止せざるを得ませんでした。昨年8月、「東アジア文化都市」事業の会期延長(21〔令和3〕年12月まで)が決定したのを受け、記念館も改めて今年の夏から秋にかけて、特別企画展「松本清張と東アジアⅡ(仮称)」を計画することといたしました。
 今回の企画展は、2010(平成22)年に開催した、「松本清張と東アジア――描かれた〈東アジア・東南アジア〉読まれる〈清張〉」展の続編として開催するものです。韓国と中国での清張作品受容の研究はこの10年の間に、松本清張研究奨励事業を中心に、翻訳の実態と内容、その読まれ方について精緻な調査が行われ、大きく進展しました。その研究成果をもとに、韓・中で読まれ続ける清張文学を「翻訳と受容」の観点から捉えなおすとともに、作家松本清張の歩いた東アジアの〈風景〉を紹介するものです。
 今号では、企画展へのお誘いとして、現在の、韓国や中国における清張作品の出版状況などをご紹介します。
 韓国では2012(平成24)年に、「清張ワールド」シリーズが誕生しました。ブックスピア社と、モビーディック社が役割分担し共同企画した出版物で、判型とデザインは統一されています。モビーディック社の編集長は、フィクションとノンフィクションを併せて出版することで、「推理小説家でありノンフィクション作家であり歴史家」でもある松本清張の全体像を、読者は「一望のもとに見ることができる」と抱負を語りました。2019(平成31)年までに当シリーズは、『日本の黒い霧』や『点と線』『半生の記』など14作品、18冊が刊行されています(写真1)。「清張ワールド」シリーズが牽引(けんいん)役となって、重要なエッセイ集『黒い手帖(てちょう)』(2014年)が翻訳され、『赤いくじ』(2017年)や『絢爛(けんらん)たる流離』(2018年)のような植民地時代の朝鮮を舞台とした作品も翻訳されました。2009(平成21)年の清張生誕100年以後、韓国では巨人・松本清張の全貌を浮き彫りにしようとする、清張受容の新境地の扉が開かれたのです。

写真1 『日本の黒い霧』(「清張ワールド」シリーズ) 韓国 2012年

写真1 『日本の黒い霧』(「清張ワールド」シリーズ) 韓国 2012年

 中国でも清張生誕100年以後、松本清張の「人と作品」が立体的に紹介されるようになりました。2012(平成24)年から、北京読客図書有限公司が『読客全球頂級暢銷小説文庫』(「全世界で最も売れた小説ライブラリー」)の刊行を開始しました。その第1から第10までを清張作品が占めています。第1冊目は、『日本を裏切った日本人』(「球形の荒野」)で、ヒットしました(写真2)。同年、『宮部みゆき責任編集 松本清張傑作短篇(たんぺん)コレクション』(新星出版社)も翻訳出版されました。

写真2 『日本を裏切った日本人』(「球形の荒野」) 中国 2012年

写真2 『日本を裏切った日本人』(「球形の荒野」) 中国 2012年

 近年は、反日の風潮が広がる中、それでも「書店には日本関連書籍が並べられ、売れ行きは好調」との報告があります。ライターの小林さゆりは2016(平成28)年8月の「東京便り」で、「中国では近年、日本ミステリーの翻訳版が飛ぶように売れている」と報告しています。前年、「東野圭吾」コーナーの大型書棚に目を見張り、その隣の書棚に「江戸川乱歩、松本清張(中略)、最近では島田荘司、宮部みゆき(中略)などまで代表作の翻訳本がズラリと並び、壮観だった」と報じています。東野圭吾は15年「アマゾン中国」ベストセラー作家ランキング第1位に輝き、以後毎年上位につけています。清張オマージュ作品も書いている東野が牽引する、日本ミステリー(「IP電影」※)ブームにのって、清張作品は中国で今も読まれ続けています。
 最後に、企画展関連事業として、秋に、「松本清張『邪馬台国』シンポジウム」を開催できるよう企画中です。こちらも乞うご期待ください。

※原作のある映画のこと

Information
 北九州市小倉北区城内2の3
 093(582)2761
【常設展観覧料】
 一般600円
 中高生360円
 小学生240円
【開館時間】
 午前9時30分~午後6時
 (入館は午後5時30分まで)


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