北九州市の文化芸術メディアサイト Culture & Cultivate CulCulかるかる

北九州市の文化芸術情報 CulCul

お問合わせはこちら▶

CulCul -かるかる-最新記事

映画と楽しむ 「ロートレックとベル・エポックの巴里(パリ)――1900年」

2022年1・2月号

美術・展示

2021年12月23日

美術hiroba
美術館へ行こう!
北九州市立美術館
学芸員 小松健一郎

 ウディ・アレン監督の『ミッドナイト・イン・パリ』(2011年)は、小説家志望のアメリカ人ギルが1920年代にタイムスリップし、尊敬するヘミングウェイやフィッツジェラルドらと交流するファンタジックな映画です。著名な文学者や音楽家、画家たちと対面し大興奮のギルですが、そこで出会った女性アドリアナは、「現在」よりも「ベル・エポック」の時こそ、パリが最も輝いていたと語ります。
 「ベル・エポック(良き時代)」とは、19世紀末から20世紀初頭にかけ、フランスの産業と文化が大きく発展した時期を指す呼び名で、後世の人々が当時の繁栄を懐かしんで用いたものです。映画の後半、ギルとアドリアナはそのベル・エポックにタイムスリップし、とあるキャバレーにたどり着きます。そこで目にするのが、画家トゥールーズ=ロートレックです。
 現在、北九州市立美術館で開催中の「ロートレックとベル・エポックの巴里―1900年」は、まさにアドリアナが憧れた時代のパリの美術に焦点を当てた展覧会です。そしてベル・エポックのシーンで真っ先に登場するように、この時代を代表する画家の一人がロートレックなのです。
 ロートレックは南フランスの名門貴族の家系に生まれましたが、少年時代の骨折が原因で両脚の成長が止まってしまいます。その後、画家を志して古典的な技法を学びますが、やがてモンマルトルの歓楽街、とくにキャバレー「ムーラン・ルージュ」に入り浸り、夜の街の人々を描き続けました。しかし奔放な生活がたたり、36歳の若さで亡くなっています。
 そんな人生のドラマ性もあってか、ロートレックはその他の映画でも取り上げられています。なかでもジョン・ヒューストン監督の『赤い風車』(1952年)は、ロートレックを主人公とした伝記映画です。この映画で親しい友人として登場するジャヌ・アヴリルは、本展出品作《エグランティーヌ嬢一座》(図1)の左奥に描かれている踊り子です。彼女はロートレックのお気に入りのモデルで、もう1点《ディヴァン・ジャポネ》(図2)でも主要人物となっています。「ディヴァン・ジャポネ」はキャバレーの店名ですが、「日本の寝椅子」を意味するその名の通り、日本風の内装が施され、店員も着物を着ていました。当時は「ジャポニスム(日本趣味)」が流行しており、ロートレック自身も着物を身に着け、日本人形を手にする肖像写真が残されているほどの日本通だったといいます。

図1 トゥールーズ=ロートレック《エグランティーヌ嬢一座》1896年

図1 トゥールーズ=ロートレック《エグランティーヌ嬢一座》1896年


図2 トゥールーズ=ロートレック《ディヴァン・ジャポネ》1893年

図2 トゥールーズ=ロートレック《ディヴァン・ジャポネ》1893年

 こうしたロートレックの日本趣味が表れているのが、バズ・ラーマン監督のミュージカル映画『ムーラン・ルージュ』(2001年)です。1900年のパリが舞台ながら、クイーンやマドンナ、ニルヴァーナなどの曲を大胆にアレンジしたことでも話題になりました。ここに登場するロートレックはかなり脚色されており、実際の人物像からはかけ離れていますが、和服のような装いを見せる場面は、彼の日本趣味を知る人なら“ニヤリ”としてしまうでしょう。

(参考図版)和装するロートレック

(参考図版)和装するロートレック

 ちなみに、『ミッドナイト・イン・パリ』でギルが最初にタイムスリップする1920年代のシーンにも、ピカソやダリ、マン・レイなどの芸術家が登場します。美術館で彼らの作品を知ってから映画を見るか、映画を見てから美術館に行くか。どちらもおすすめの楽しみ方です。

Information
ロートレックとベル・エポックの巴里―1900年

【会場】
 北九州市立美術館本館
【会期】
 開催中~2月6日(日)
【開館時間】
 午前9時30分~午後5時30分
 (入館は午後5時まで)
【観覧料】
 一般1200(1000)円 
 高大生800(600)円 
 小中生600(400)円
 ※( )内は20名以上の団体料金
 ※障害者手帳提示の方は無料
  年長者施設利用証(北九州市交付のもの)提示の方は2割減免
【お問合せ】
 093(882)7777

※新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため、施設の臨時休館、催しの中止・延期となる場合がございます。最新の情報は各施設のホームページをご確認ください


◀ CulCul -かるかる-最新記事一覧に戻る
北九州市の芸術文化情報マガジン「CulCul・かるかる」最新号の記事はこちらから

ジャンル別施設情報

全施設一覧のPDFはこちら ▶

美術・ギャラリー

劇場・音楽ホール・市民会館

文学

漫画・映画

自然史・歴史・文化財等

その他 市内の施設

イベントカレンダー

2022年08月
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31
2022年09月
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

イベント検索

キーワード検索

ジャンル検索

エリア検索

施設名検索


ページのトップへ戻る