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没後80年 青柳喜兵衛とその時代

2018年11月号

美術・展示

2018年10月31日

美術hiroba
美術館へ行こう!
北九州市立美術館
学芸員 重松知美

 

青柳喜兵衛《天翔ける神々》 1937年 北九州市立美術館蔵

 

 北九州市立美術館本館では、11月11日(日)まで、大正末期から昭和初期にかけて活躍した洋画家・青柳喜兵衛(あおやぎきひょうえ)(1904~38年)の展覧会が開かれています。
 青柳喜兵衛は博多に生まれ、柔道場の館主であった父の薫陶(くんとう)を受け柔道を学び、水泳も得意とするなど活発な一方で、幼いころから絵や文学に心ひかれる少年時代を過ごしました。学生時代から油彩画を描きはじめ、上京後、本格的に洋画技法を学びます。

 

青柳喜兵衛《厨房にあるもの》 1935年 北九州市立美術館蔵

 

 帝展のほか槐樹社(かいじゅしゃ)、旺玄社(おうげんしゃ)で作品を発表し、その画風は、青柳が所属した槐樹社の画家たち、牧野虎雄、吉村芳松ら官展系作家たちの影響が見られます。青柳の静物画やイラストには、玉葱(たまねぎ)や蓮根(れんこん)、白菜、ブドウ、イチジクなどの野菜果物がよく登場します。特に玉葱は特別な存在であったようで、玉葱の伸びる芽に自らの画家としての歩みを重ねたエッセイを執筆しており、後年の青柳の評伝では「玉葱の画家」と評されたほどです。これは、青柳の生家が青果問屋で、幼い頃から身近な環境であったことも大きいでしょう。
 また、晩年には郷土玩具や子どもを描くようになり、作品には対象を愛しく思う青柳の温かなまなざしが感じられます。
 晩年の代表作《天翔(か)ける神々》は、前年に病没した愛児と、子どもの健やかな成長を願う玩具たちが描かれています。かわいらしい玩具たちと遊ぶ子どもの姿と鮮やかな色彩には、天国で我が子が元気でいるようにと願う、父としての青柳の追悼の思いが込められているようです。

 

青柳喜兵衛《「犬神博士」第89回挿絵原画(再制作)三人巡査》 1933年 北九州市立美術館蔵

 

 青柳は1926(大正15)年から帝展に連続入選するなど洋画家として早くから高い評価を受けましたが、挿絵や装丁の分野でも活躍しました。夢野久作の新聞小説『犬神博士』挿絵をはじめ、火野葦平、劉寒吉、原田種夫ら九州の文士たちとの交流から生まれた多くの装丁・挿絵もまた、青柳の画業の大きな一角を占めています。このほか、青柳は「川端生樹」のペンネームで詩人としても活動しました。
 洋画家、挿絵画家、そして詩人としても精力的に活動していた38(昭和13)年、青柳は34歳の若さで早世しました。
 挿絵なども含む、青柳の多彩な画業の全容が明らかとなるのは本展が初となります。青柳の作品から戦前の九州で美術、文学を横断して花開いた文化の一端をご紹介します。

 

火野葦平著/青柳喜兵衛装丁『詩集 山上軍艦』とらんしっと詩社 1937年 個人蔵

 

Information
没後80年 青柳喜兵衛とその時代

【会期】
 9月15日(土)~11月11日(日)

【開館時間】
 午前9時30分~午後5時30分
 (入館は午後5時00分まで)

【観覧料】
 一般1100(900)円
 高大生600(400)円
 小中生400(300)円
 ※( )内は前売りおよび20名以上の団体料金
 障害者手帳を提示の方は無料
 年長者施設利用証(北九州市交付のもの)を提示の方は2割減免

【お問合せ】
 093(882)7777
 


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