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積み重なる歴史の礎(いしずえ)―小倉城三ノ丸跡第11地点の調査と土層(どそう)―

2018年11月号

自然史・歴史・文化財等

2018年10月31日

埋蔵文化財hiroba
遺跡からのメッセージ
(公財)北九州市芸術文化振興財団
埋蔵文化財調査室
学芸員 山口裕子

 

 小倉城三ノ丸跡は紫川と板櫃(いたびつ)川に挟まれた低丘陵(ていきゅうりょう)上にあります。幕末ごろに描かれた『小倉藩士屋敷絵図』によると、西曲輪(にしくるわ)に位置しており、主に上級武士の屋敷が立ち並んでいました。これまでに10回の発掘調査が行われており、今年度に調査を行った第11地点は西小倉小学校の敷地内にあります。今回の調査では、近世に丘陵の裾(すそ)部を大規模に埋め立てていることが分かりました。この造成によって急斜面(法/のり面)が造られており、これが三ノ丸の西の境界となっています。斜面の高低差は約4メートル、この下にはさらに古い時期の地面があります。そこには土手や溝などが確認されており、近世以前に存在した中世小倉城に関連する遺構(いこう)だと考えられます。

 

写真1 小倉城三ノ丸跡北壁土層

 

 発掘調査ではこうした遺跡の形成(埋没)過程を考えるために、任意の箇所を掘り残して壁を造ります。この壁をきれいに削って、断面として土層の確認を行うのです。土層とは主に考古学や土壌学で用いられる言葉ですが、異なる色や質の土が積み重なって層を成している状態、もしくは層単体を示します。考古学では、その層が自然堆積か人為的な造成か、また、土器や石器などの遺物(いぶつ)が含まれている(遺物包含層/ほうがんそう)か、遺構が掘り込まれている(文化層)か、などの情報によって遺跡の形成過程や年代などを考えていきます。土層を見て遺跡の内容を理解することは発掘調査において欠かせない技術の一つです。
 写真1は調査区の北壁に見える土層で、一番下の地面には中世の遺構群があります。この面から現在の地面まで約5メートルの高さがあり、堆積した土層は大きく四つに分けられます。

 

写真2 小倉城三ノ丸跡東壁土層

 

 中世の遺構群の直上にある①は、近世、おそらく細川忠興(ただおき)が築城する際に造成した層だと考えられます。写真2は東壁に見える近世造成層の写真で、左上から右下へ傾斜する筋(すじ)状の土層が確認できます。これは作業工程を示しており、左(北)から右(南)に向かって土を落とし込んだと推測されます。また、それぞれの土層は当時の人々が手作業で運んだ土のまとまりだと考えられます。自動車や機械などのない時代4メートルまで積み上げた筋状の土層は、城造りに携わった人々の苦労の証しと言えるでしょう。②は堀の堆積土と考えられる層です。前述の絵図において三ノ丸の西境には「幅六間半(約12・8メートル)」「深五尺(約1・52メートル)」の堀が描かれており、この堀に溜(た)まったヘドロの層だと考えられます。この層には木材や瓦礫(がれき)などのごみと共に、昭和2年と記された一銭硬貨も見つかりました。堀が造られたのは江戸時代ですが、昭和初期まで使われていたと推測されます。その上にある③にはガラス片や近代以降の陶磁器片が含まれ、また②の堀の上にあることから昭和初期以降の造成だと分かります。この層は①の斜面を西側に拡幅する大規模なもので、1933(昭和8)年に完成した小倉工廠(こうしょう)(小倉陸軍造兵廠)の建設に伴うものと考えられます。そして戦後、小学校がこの場所に移転する際に最上層④の整地が行われた、という変遷を見ることができるのです。
 こうしたさまざまな情報を含みながら土層は堆積し、遺跡が形成されていきます。よく、遺跡は特別な場所にしかないと思っている方もいますが、人類の誕生から現代まで、人の生活範囲であれば、どこでも遺跡になり得ます。実は「あなたの家も遺跡の中」ということはよくありますし、まだ見ぬ遺跡が皆さんの足下(あしもと)に眠っているかもしれません。歴史の流れとともに積み重なった地面が礎となり、その上に今の私たちの生活があるのです。

 

〈埋蔵文化財の展示案内〉 
・北九州市立埋蔵文化財センター
 〈小倉北区金田1の1の3 093(582)0941〉
 北九州市を掘る(90)
 「弥生から中世の村と祭祀 ―祇園町遺跡第12地点の調査から―」
 小倉南区祇園町遺跡から出土した弥生時代から中世にかけての土器、陶磁器、
 また井戸や柱穴から出土した祭祀遺物など50点を展示・ 常設展もあり

【入館料】
 無料

【開催期間】
 8月21日(火)〜11月18日(日)まで

【開館時間】
 午前9時~午後5時
 (入館は午後4時30分まで)
 ※毎週月曜日(休日の場合はその翌日)休館

・黒崎歴史ふれあい館
 〈八幡西区黒崎3の15の3黒崎駅横コムシティ1F〉
 常設展開催中/『城下町から宿場町へ~出土品が語る黒崎の歴史と文化~』
 『シュガーロード・発掘物語』

【入館料】
 無料

【開館時間】
 午前9時~午後5時
 (入館は午後4時30分まで)
 ※年中無休


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