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藍摺の美 コレクション展 「特集 浮世絵―色彩の変遷」より

2019年2月号

美術・展示

2019年1月31日

美術hiroba
美術館へ行こう!
北九州市立美術館
学芸員 山下理恵

 美人画の名手である渓斎英泉(けいさいえいせん)の《仮宅の遊女》は、火災のため吉原を離れた遊女たちが、遊郭再建まで仮営業を許された仮宅(かりたく)で過ごす様子を描く。本作のように青色の濃淡のみで摺(す)り上げた浮世絵を藍摺(あいずり)という。本作では遊女たちの唇にのみ紅色が差され、名状しがたい色香がただよう。

《仮宅の遊女》(部分)
輸入顔料「ベロ藍」の濃淡のみで摺り上げた「藍摺」。
遊女の唇には、きき色として紅を用いている


 浮世絵といえば木版多色摺りが一般的(多いものでは10色以上もの版を重ねる)で、さまざまな色を使って織り出した錦に例えて錦絵とも称される。そのなかで、なぜ青1色の藍摺が生まれたのだろう。その鍵となるのが「ベロ藍」である。
 ベロ藍は、鉄を主成分とするプルシアンブルーという極めて発色の良い化学合成顔料で、文政(1818~30年)後期以降、日本に輸入された。それまで浮世絵の青に用いられた植物性の絵の具には、水に溶けて色素が落ちやすい、褪色(たいしょく)しやすい、高価である、といった欠点があった。しかし、ベロ藍はそれらの問題をすべて解決し、1821(文政4)年以降、ベロ藍を多用した浮世絵は飛躍的に増えた。葛飾北斎の「冨嶽三十六景」はその代表格で、発色が良く伸びの良いベロ藍の特性を生かしたぼかし摺りなどの技法で、奥行きのある空や水が表現された(以後、北斎や歌川広重を中心に青を効果的に取り入れた名所絵が流行する契機となる)。
 浮世絵の色彩が華やかになる一方、渓斎英泉が創始した藍摺は、あえて青1色にすることで新鮮味を打ち出した。革命的ともいうべき鮮やかなベロ藍それ自体の美しさと、単彩の目新しさが、藍摺の魅力である。当時庶民に普及していた染付の磁器や、墨1色で幽遠な世界を描く水墨画をも想起させ、多様な浮世絵版画の表現の一端を垣間見せてくれる。

渓斎英泉《仮宅の遊女》1835~37年 北九州市立美術館蔵


 今回のコレクション展では、浮世絵の色彩の変遷を追うとともに、二つ目の特集として、北九州市ゆかりの画家・田淵安一(1921~2009年)を中心に異国の地で自らの芸術を追求した日本人画家の作品を紹介。そのほか、ドガ《マネとマネ夫人像》、モネ《睡蓮、柳の反影》など当館が誇る名品も併せて展示する。
 
Event
〈学芸員によるギャラリートーク〉

【日時】
 2月16日(土)
 3月16日(土)
 各回午後2時から

【場所】
 北九州市立美術館本館3F 
 コレクション展示室
 ※申し込み不要、ただし本展観覧料が必要です

 
Information
コレクション展Ⅲ
特集1 浮世絵―色彩の変遷
特集2 フランスに渡った画家たち―田淵安一を中心に

【会場】
 北九州市立美術館本館

【会期】
 2月9日(土)~ 3月24日(日)

【開館時間】
 午前9時30分~午後5時30分
 (入館は午後5時まで)

【休館日】
 毎週月曜日
 ※月曜日が祝日・振替休日の場合は開館し、翌火曜日が休館

【観覧料】
 一般150(120)円
 高大生100(80)円 
 小中生50(40)円
 ※(  )内は20名以上の団体料金
 障害者手帳、年長者施設利用証(北九州市交付のもの)を提示の方は無料

【お問合せ】
 093(882)7777


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