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関谷ひさしとスポーツマンガの時代 ~もうひとつの少年マンガ史~
2020年3・4月号
漫画・映画
2020年2月28日
※新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため、施設の臨時休館や、催しの中止・延期となる場合がございます。最新の情報は各施設のホームページをご確認ください
漫画hiroba
漫画と北九州
北九州市漫画ミュージアム
学芸員 柴田沙良
漫画ミュージアムでは3月20日(金・祝)から6月14日(日)まで、北九州ゆかりのマンガ家・関谷ひさしの展覧会を開催します。関谷は昭和30年代を中心に、月刊少年マンガ誌の黄金時代に手塚治虫や横山光輝らと共に誌面を飾りました。展示ではミュージアムが所蔵する約1万6000点のマンガ原稿を元に、関谷の画業の全体像に迫ります。
関谷ひさし(本名:関谷久)は1928(昭和3)年生まれ。門司商業学校に入学し、戦後は北九州で新九州新聞社に入社し編集として「まんが新九州」に携わり、本紙の新九州新聞でも4コママンガ「ルリちゃん」を手掛けます。学習研究社の仕事もしており、確認できる限りでは『二年の学習』から『六年の学習』まで全てに掲載があり、さらに下の年齢層向けの『幼稚園ブック』にも描いていました。学齢が下がるほどコマを大きくしたり、分かりやすく短い言葉を使ったりするなど、学年誌ならではの工夫に満ちた連載でした。

「ストップ!にいちゃん」Ⓒ関谷ひさし
それらや秋田書店の少女漫画誌『ひとみ』の仕事と並行して、1950年代末からは同社の『冒険王』で野球マンガ「ジャジャ馬くん」を連載します。この頃多忙となり上京。「ジャジャ馬くん」はヒット作となり、62年からの代表作「ストップ!にいちゃん」の連載につながります。野球も柔道もサッカーも、どんなスポーツであれ一流選手と肩を並べるほどの身体能力を持つ主人公が巻き起こすコミカルなストーリーは約6年間続き、人気作となりました。膨大な仕事を抱えながらも、レベルを落とさずに巧みな描線の作品を発表し続けます。2008年に亡くなるまでマンガに取り組み、最後の作品として「侍っ子」が出版されました。

「ストップ!にいちゃん」Ⓒ関谷ひさし
ミュージアムが所蔵する原稿は新九州新聞に掲載されていた「ルリちゃん」や少年剣士を主人公にした歴史もの、少年誌に掲載されていた頃の作品、90年代のユーモア作品まで多岐にわたっています。また、作画の参考にしたと考えられる雑誌の切り抜きなど原稿以外の資料も収蔵しています。門司から出発して日本中の子どもたちを喜ばせた関谷ひさしの原画をこの機会にぜひご覧いただければと思います。

「ルリちゃん」Ⓒ関谷ひさし
Information
関谷ひさしとスポーツマンガの時代 ~もうひとつの少年マンガ史~
【開催期間】
3月20日(金・祝)~6月14日(日)
【開催場所】
北九州市漫画ミュージアム 5F 企画展示室
【開館時間】
午前11時~午後7時(入館は午後6時30分まで)
【休館日】
毎週火曜日(ただし、3月31日、5月5日は開館)
【入館料】
一般1000円 中高生500円 小学生200円 未就学児無料
(常設展セット券:一般1300円 中高生650円 小学生300円 未就学児無料)
【お問合せ】
093(512)5077
ホームページ http://www.ktqmm.jp
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