写真1 世界最大の甲虫といわれるヘラクレスオオカブト

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いのちのたび博物館開館15周年記念 大昆虫博

2017.8月号

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北九州市立いのちのたび博物館
学芸員 蓑島悠介

 昆虫は子ども向け? 夏の特別展「大昆虫博」は、決して子どもだけのための展示ではありません。全ての世代が楽しむことができ、新たな世界への気づきを与えてくれる、それが地上の覇者、昆虫の魅力です。
 昆虫はクモやムカデ、エビなどが含まれる節足(せっそく)動物の一員です。世界からおよそ100万種が知られており、全生物種のおよそ6割を占めます。昆虫のうち、海に生息するものはわずかなため、昆虫は陸上で最も多様化している生物といえます。
 昆虫はさまざまな環境に生息しており、その形や生き方も多様です。巨大なものでは体長15センチメートルを超え、子どもにも人気の高いヘラクレスオオカブト(写真1)やタイタンオオウスバカミキリ(写真2)といったものが有名です。一方、昆虫のほとんどは1センチメートル以下の小さな生き物で、例えば最も小さなクワガタムシの一つ、マダラクワガタは5ミリメートルほどです。それでも、小さな昆虫を研究している身からすると、5ミリメートルは十分「大きな」昆虫なのですが…

写真1 世界最大の甲虫といわれるヘラクレスオオカブト

 

写真2 世界最大のカミキリムシ、タイタンオオウスバカミキリ


 今回の特別展では、チョウ、カブトムシ、クワガタムシ、擬態(ぎたい)昆虫そして水生昆虫を中心に、1万5000点以上の標本展示と、50種類を超える生体展示で、昆虫の魅力を紹介します。
 故岡野喜久麿(おかのきくまろ)氏が生涯を掛けて収集した貴重な蝶(ちょう)類コレクションでは、壁一面の標本展示で世界中の愛好家を魅了してきた蝶の美しさと多様性に迫ります(写真3)。

写真3 岡野喜久麿コレクションのトリバネアゲハ


カブトムシでは、ヘラクレスオオカブトのような有名な種から、マダガスカルにのみ生息する飛べないカブトムシ「ヘクソドン」(写真4)まで、およそ300種類。

写真4 シロスジヘクソドン。左右の上翅(じょうし)がくっついていて飛べない。「ヘクソドン」は学名をカタカナ読みした名前


知られざるカブトムシの魅力を紹介します。クワガタムシは故磯貝島根(いそがいしまね)氏と故上田將人(うえだまさと) 氏による世界と日本のクワガタムシコレクションのコラボレーションです。日本産種ほぼ全種を含む、日本最大級どころか世界最大級といっても過言ではない展示となります。擬態昆虫では、葉っぱにそっくりなコノハムシ(写真5)や、花にそっくりなハナカマキリ(写真6)などを生きたまま展示します。さらにはクモやサソリといった、昆虫以外の生きた節足動物も展示します。

写真5 コノハムシの擬態は徹底している

 

写真6 ハナカマキリは花と間違えて寄ってきた昆虫を捕食する

 

 水生昆虫では、北九州・魚部(ぎょぶ)の特別協力による「魚部室@ヒメドロムシ&ゲンゴロウ展」を行います。ヒメドロムシ(写真7)は1〜2ミリメートル程度の極めて小さな昆虫ですが、北九州の身近な川にも生息しており、大切な河川の生態系の一員です。北九州・魚部がこれまで地道な調査を行ってきたからこそできる展示です。普段は見過ごされてしまうような昆虫を、その小ささを体感しながら、間近でじっくりとご覧いただける貴重な機会であることは間違いありません。水の中に住む昆虫をきっかけに、地域の水環境の現状や、想像を超える水生昆虫の多様な世界に一歩踏み込んでみませんか?

写真7 水の中を歩いて生活しているヒメドロムシは、脚が長く頑丈(井上大輔氏提供)



Information
大昆虫博 

【会期】
 7月15日(土)〜9月3日(日) 
 ※会期中無休

【開館時間】
 午前9時〜午後5時
 (最終入館は午後4時30分まで)

【入場料】
 大人800円(640円) 
 高大生500円(400円)
 小中生400円(320円) 
 ( )内は団体料金
 常設展とのセット券あり
 チケットはセブンチケットでも販売しています
 (セブンコード055-243)
 詳細は、ホームページまたは博物館までお問い合わせください
 ※子ども文化パスポート適用あり
  (常設展のみ適用)

【お問合せ】
 北九州市立いのちのたび博物館
 093(681)1011 
 http://www.kmnh.jp/