小笠原忠真木像(小倉北区の広寿山福聚寺蔵)

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最後の戦国武将 小倉藩主 小笠原忠真展

2017.10月号

CulCul特集
北九州市立いのちのたび博物館
学芸員 守友隆

 
 今年は小笠原小倉藩初代藩主の小笠原忠真(ただざね)の没後350年に当たります。それを記念して忠真に関する特別展を開催します。
 小笠原忠真(1596〜1667年)は、1632(寛永9)年、肥後国熊本に国替となった細川氏に代わって小倉藩主となりました。

小笠原忠真木像(小倉北区の広寿山福聚寺蔵)

 

 小笠原氏は甲斐源氏の流れをくみ、武田信玄と同族です。室町時代、信濃国(しなののくに)(現長野県)の守護を務めました。忠真の父は小笠原秀政で、母は福姫(峯高院/ほうこういん)です。福姫の父は徳川信康、母は徳姫(見星院)です。信康の父が徳川家康、徳姫の父が織田信長ですから、忠真は家康と信長のひ孫に当たります。
 忠真は、1615(慶長20)年の大坂夏の陣に徳川方として出陣し、5月7日天王寺口(てんのうじぐち)の戦いで槍(やり)傷を数カ所負うほど奮戦しました。この戦いで、忠真の父の秀政、兄の忠脩(ただなが)は戦死しました。

小笠原忠真所用具足(福聚寺蔵) 忠真が大坂夏の陣で着用したものと伝わる

 

 夏の陣終結後、二条城での宴席で忠真は曽祖父の家康から「鬼孫(きそん)」、すなわち勇猛なひ孫と激賞されました。父と兄、そして自身の戦功により忠真はとんとん拍子に出世します。
 父と兄が亡くなったことにより、信濃国松本(現長野県松本市)8万石の藩主となった忠真は、1617(元和/げんな3)年、2万石を加増されて播磨国(はりまのくに)明石(現兵庫県明石市)10万石の藩主となります。そして、幕府と舅(しゅうと)の姫路藩主本多忠政(忠勝の後継者)の後援を得て明石城を築きます。同城は、いわゆる《元和の一国一城令》後に築かれた新城です。そのことからも、幕府がいかに忠真を信頼していたかが分かります。
 忠真は明石藩主を約15年務めた後、5万石を加増され、豊前国(ぶぜんのくに)企救(きく)・田川・仲津・京都・築城・上毛6郡15万石を与えられて、小倉城に入りました。
 3代将軍徳川家光は、忠真に小倉への国替を命じた際、「豊前国小倉は『九州ノ咽喉(いんこう)』(交通の要衝)なので、右近(うこん)(忠真)に任せる。何か変事があれば速やかに知らせるように」と申し渡しました。このため、九州の外様大名は忠真を幕府の「九州御目付(おめつけ)」・「九州探題(たんだい)」と一目置きました。
 さて、小倉藩の表高(おもてだか)15万石は、外様大藩の多い九州においては低い石高と思われがちです。ただ、全国の譜代大名のなかで、彦根藩井伊家の30万石に次ぎ、徳川四天王と称される酒井・本多・榊原家と同率2位です。しかも、小笠原家は寛永9年以降国替がなく、これは井伊家と大垣藩戸田家くらいしかない特例です。幕府が、小倉と小笠原家を重要視していたためと考えられます。
 忠真が小倉藩主となった後、対馬藩宗家の国書改竄(かいざん)疑惑によるお家騒動(柳川一件)、島原・天草一揆(いっき) 、一部を除いた外国船の来航禁止(「鎖国」の完成)など全国的な出来事が起こります。そのなかで忠真は九州譜代大名の重鎮として活躍しました。
 小倉藩領内においては、客分として迎えた宮本武蔵の養子の伊織(貞次)を家老に抜擢(ばってき)し、前代の細川氏の政治を継承しました。晩年には、黄檗宗(おうばくしゅう)に帰依(きえ)し、自身の菩提寺となる広寿山福聚寺(こうじゅさんふくじゅじ)を創建しました。
 以上述べた忠真の活躍を、彼や小笠原一族ゆかりの品をはじめ、曽祖父である家康・信長といった天下人たち、親戚となった蜂須賀(はちすか)(徳島藩)・細川(熊本藩)・本多(姫路藩)・黒田(福岡藩・秋月藩)、宮本武蔵や高田又兵衛などゆかりの人物の品からご紹介します。全国各地から忠真関係の品が一堂に会する機会はなかなかありませんので、この機会をお見逃しなく。

徳川家康公戎(じゅう)服騎馬の図(八幡西区の香徳寺蔵) 忠真の曽祖父家康が肥前名護屋城(現佐賀県唐津市)に向かう際、信誉上人(図左)が馬上の家康(図右)に「十念」を授けている図

 

Information
最後の戦国武将 小倉藩主 小笠原忠真展

【会期】
 10月7日(土)〜12月3日(日)
 会期中無休

【開館時間】
 午前9時〜午後5時
 (最終入館は午後4時30分まで)

【入場料】
 大人500円(400円) 
 高大生300円(240円)
 小中生200円(160円)
  ( )内は団体料金
 常設展とのセット券、前売り券あり
 詳細は、ホームページまたは博物館までお問い合わせください

【お問合せ】
 北九州市立いのちのたび博物館
 093(681)1011 
 http://www.kmnh.jp/