泳いでいる姿勢のスピノサウルスに再び会える!(キャストはシカゴ大学の好意による)

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アクア・キングダム

2017.12月号

CulCul Topic
北九州市立いのちのたび博物館
学芸員 大橋智之

 いのちのたび博物館の今年の冬の特別展は「アクア・キングダム」として、水の中に還(かえ)った脊椎動物の適応を紹介します。一体何が「水の中の王国」なのでしょうか。動物にとって水中は生きていく場所としても非常に重要な環境です。過去から現在までの生命進化を見ても、生命は海で生まれ、進化の中でさまざまな動物が水の中で生きていくのに適応しています。
 脊椎動物の進化に注目してみると、魚類として進化した中から、3億7000万年前ごろに脊椎動物は陸上に進出したと考えられています。陸上に適応しさまざまな分類群に進化した脊椎動物ですが、その進化の中で、生活の場を再び水中に戻した動物がいます。例えば、爬虫類(はちゅうるい)の魚竜類、モササウルス類、首長竜類などは恐竜が生きていた中生代に海での生活に適応しました。海ガメ類は中生代に既に登場し、現在も海の中で生活しています。鳥類も中生代白亜紀には泳ぐことに適応した仲間がいましたし、現在もペンギン類のように水中で生活するのに適した体をしているものもいます。哺乳類では、恐竜がいなくなった新生代にクジラなどの祖先が水中での生活に適応し、現在も水中で生活しています。
 このように脊椎動物のさまざまな仲間が、陸上から再び水中生活に適応していったことを「脊椎動物の二次的水生適応」と呼んでいます。「アクア・キングダム」はこの「脊椎動物の二次的水生適応」をテーマに、脊椎動物の進化の中で水中生活に適応した動物を展示し、その体の特徴や生態をさまざまな標本で解説します。 

泳いでいる姿勢のスピノサウルスに再び会える!(キャストはシカゴ大学の好意による)

 

 展示の見どころの一つは、史上最大の肉食恐竜スピノサウルス全身復元骨格です。最新研究により陸上では四足歩行し、さらに水中生活に適応した可能性が高いことが示されており、昨年夏に当館で開催した「恐竜博2016」では最新研究に基づいた泳いでいる姿勢で展示しました。今回の「アクア・キングダム」でこのスピノサウルスが再び登場します。泳いでいたと考えられることに注目し「恐竜博2016」とは一味違った展示となります。
 さらに史上最大の魚竜ショニサウルスの頭骨復元も展示します。魚竜は魚のような体型で水中生活に適応した爬虫類として知られています。ショニサウルスはカナダで見つかった推定全長約21メートルになる魚竜で、頭骨だけで約3・8メートルの大きさです。この他にも約3000万年前の北九州に生息していた海鳥プロトプテルム類のコペプテリクスや鯨類ヤマトケタスの実物化石も特別公開します。この2種の実物化石は学名(種の名前)を付ける元になった標本で通常は公開されていません。ぜひこの機会を見逃さず、地元北九州から見つかった貴重な標本をご覧ください。これら以外にも哺乳類のアザラシ、爬虫類の海ガメやワニ、鳥類のペンギンなどさまざまな水生適応した動物を展示します。皆さまのお越しを「水の中の王国」でお待ちしています。

史上最大の魚竜ショニサウルス頭骨復元は圧巻!

 


Information
アクア・キングダム

【会期】
 12月23日(土・祝)〜2018年2月25日(日) 
 ※会期中無休
 ※12月29日(金)〜1月1日(月・祝)は休館

【開館時間】
 午前9時〜午後5時
 (最終入館は午後4時30分まで)

【入場料】
 大人500円(400円)
 高大生300円(240円)
 小中生200円(160円)
 ( )内は団体料金
 常設展とのセット券、前売り券あり
 詳細は、ホームページまたは博物館までお問い合わせください

【お問合せ】
 北九州市立いのちのたび博物館
 093(681)1011 
 http://www.kmnh.jp/