図1 第1回「北九州国際漫画大賞」海外部門賞受賞作品 ナム・ジョンフン『音楽家の妻』/韓国

図1 第1回「北九州国際漫画大賞」海外部門賞受賞作品 ナム・ジョンフン『音楽家の妻』/韓国

漫画

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北九州国際漫画祭2017 〜第2回「北九州国際漫画大賞」作品展や台湾漫画展など〜

2017.12月号

CulCul特集
北九州市漫画ミュージアム
専門研究員 表智之

 

 日本では、老若男女幅広い読者に向けてさまざまな漫画作品が、日々発表されつづけています。扱うテーマや物語の舞台も多様ですし、私たちが普段慣れ親しんだものの見方とは異なる視点から描かれた作品も多く、自分が「普通」「常識」だと思っている世界の外側に、広大で豊かな可能性が広がっていることに、驚かされることもしばしばです。
 自由で多様な漫画の世界ですが、実は目には付きづらい部分で、けっこう厳しい束縛が存在しています。それは表現の「型」とも言うべき、さまざまな決まりごとです。例えば、日本の漫画はほぼ例外なく、ページの右上から左下に向かって進行するように描かれます。漫画雑誌を含めた雑誌全般が、文字を縦書きにしてページを右で綴(と)じる形態であることが元々の理由でしょうが、書き下ろし単行本の形で発表される作品もこの規則に従っているのは、日本人にとってその「型」が一番読みやすいからでしょう。
 昨年から開催している「北九州国際漫画大賞」(図1)は、4コマ漫画の公募コンテストで、海外からもたくさんの応募があります。今年度の第2回も、総計1060点の応募作品のうち、433点が海外からの応募でした。募集規定としては「コマ4つで構成され1ページにまとまった作品」が条件で、どういう形でページを4コマ分に区切るかはあえて定めていません。日本の新聞4コマのように縦に4コマつなげるのか、「田」の字形に区切るのか、それともコマの大きさに変化をつけるのか……日本の「型」に必ずしもとらわれない自由な発想を求めてのことです。

図1 第1回「北九州国際漫画大賞」海外部門賞受賞作品 ナム・ジョンフン『音楽家の妻』/韓国


 第2回「北九州国際漫画大賞」の審査結果は12月上旬に発表予定で、入賞作品を中心とした作品展を、12月23日(土・祝)から開催の「北九州国際漫画祭2017」にて行います。外国語での応募作品は、もちろん日本語訳を付けて展示します。日本国内からの応募作と合わせて眺めると、言語の違いとは別に、日本の4コマにはやはり一定の「型」があり、その「型」にとらわれない新鮮な面白さが海外からの作品にあることを、感じ取っていただけることと思います。
 「国際漫画祭」では「漫画大賞」公募作品の他にも、国・地域によりさまざまな特徴を持つ海外の漫画文化を展示しますが、中でも注目は台湾の漫画。特に、台湾の歴史や文化をテーマとする漫画作品を主に取り上げます。例えば張季雅(ちょうきや)の『異人茶跡(いじんちゃせき)』(図2)は、台湾土産の定番である「烏龍茶」を、新たな特産輸出品として開発し普及させた2人の人物の奮闘を描きます。1人はスコットランド出身の冒険家。1人は清国福建省出身の貿易商。台湾は、福建省出身の貿易商・鄭成功(ていせいこう)がオランダと闘って台湾を独立させ、後に清国に併合されたという複雑な歴史を持ちますが、それゆえに国際色豊かな物語となっています。

図2 張季雅『異人茶跡』 (原著:台湾・蓋亞文化、翻訳:コミックカタパルト)

 

 さらに、ヨーロッパのチェコ共和国や、カナダのフランス語圏であるケベック州の漫画作品なども展示する予定です。それぞれの国・地域の漫画が持っている、日本とはまた異なる「型」や、作品に描かれているそれぞれの歴史や文化にふれ、私たちの固定観念の外側にある豊かな世界の広がりを、ぜひ感じ取ってください。

Ⓒ張季雅/蓋亞文化/Comic Catapult



Information
北九州国際漫画祭2017

【会場】
 北九州市漫画ミュージアム 企画展示室
 (あるあるCity5F)

【開催期間】
 12月23日(土・祝)〜2018年1月21日(日)

【開館時間】
 午前11時〜午後7時
 (入館は午後6時30分まで)

【休館日】
 12月31日(日)~1月2日(火)、1月9日(火)・16日(火)

【入館料】
 無料

【お問合せ】
 北九州市漫画ミュージアム 
 093(512)5077