図1 左萱『神之郷』(台湾) ⓒ左萱/蓋亞文化/Comic Catapult

漫画

| 漫画, 北九州市漫画ミュージアム, 学芸員 |

「北九州国際漫画祭2017」 12月23日(土・祝)〜2018年1月21日(日)

2018.1月号

漫画hiroba
漫画と北九州
北九州市漫画ミュージアム 
専門研究員 表智之

 

 漫画は、日本だけでなく世界中で描かれ、読まれています。ただし、コマの区切り方や構図の取り方といった表現スタイルや、物語のバックボーンとなる文化や歴史が異なることなどから、自分が生まれ育った国・地域以外の漫画を楽しむには、言語の翻訳以外にもそれなりのハードルがあります。
 例えば、日本の漫画は現在では世界各地で翻訳され楽しまれていますが、コマの区切り方が複雑であることなどから、「漫画の読み方」を指南するページが翻訳本の中にしばしば設けられています。また逆に、世界随一の市場規模で漫画に親しむ日本では、国産漫画に比べ海外漫画への関心が極端に薄いことでも知られます。
 ただ近年では、海外漫画の翻訳本、通称「ガイマン」にもファン層が形成され、翻訳出版点数も年々増加しています。北米のもの、フランスやベルギーなどフランス語圏のもの、韓国のものに特に人気があるようです。1月7日(日)には、読者投票で決めるガイマンの年間ランキング「ガイマン賞2017」の実行委員でもある翻訳家の原正人が、投票集計結果をもとに、今年のガイマンの動向をお話しします。
 海外の漫画は、最初は読みづらくても、少し慣れると作品の向こう側にその国・地域の文化や歴史が感じられて、がぜん面白くなります。今回の国際漫画祭は台湾、チェコ共和国、そしてカナダのケベック州の漫画を紹介しますが、いずれも複雑な歴史を背景に、独特の漫画文化があります。
 台湾は、早くから日本漫画を翻訳して親しんでいたことや、国産漫画に対して政府が厳しい表現規制を行っていたことなどから、作家も読者も日本漫画の影響が強く、表現スタイルで日本との共通性が高いのが特徴です。今回の展示では、台湾の文化や歴史を描いた作品づくりに取り組む台湾の出版社「蓋亞(ガイア)文化」の作家たちを取り上げます。台北郊外の歴史都市「大渓(ダーシー)」を舞台に伝統的な信仰や祭祀(さいし)を描いた、左萱(サケン)「神之郷(かみのふるさと)」(図1)などをお楽しみください。1月14日(日)には左萱・李隆杰(リロンジェ)・KINONO(キノノ)ら3名の作家をお招きしてイベントも行います。

図1 左萱『神之郷』(台湾) ⓒ左萱/蓋亞文化/Comic Catapult


 チェコは、社会主義体制下で輸入が禁じられていた海外の漫画を、自由化後に一斉に吸収した結果、元の伝統的な漫画と海外のさまざまな漫画が混じりあって独特のスタイルが生まれました(図2)。

図2 パヴェル・チェフ『ペピーク・ストジェハの大冒険』(チェコ) ⓒPavel Čech, 2012


1月20日(土)に専門家による講演を行います。またケベック州は、ヨーロッパから北米大陸へたくさんの移民が入植する中で、フランス系の移民がこの州に集中したことから、カナダの中のフランス語圏として独特の文化を保っています。ヨーロッパと北米の漫画が混じりあって生まれる面白さを展示でご覧いただきます(図3)。

図3 キャブ『核の冬』(カナダ・ケベック州) ⓒCab/Frond Froid


  他にも、世界中でブームを巻き起こした元祖「クールジャパン」とも言うべき、アニメ「マジンガーZ」(原作・永井豪)の新作映画を記念した展示や、第2回「北九州国際漫画大賞」受賞作品展など、盛りだくさんの「北九州国際漫画祭2017」。ひとときの異文化体験をぜひお楽しみください。展示やイベントの詳細は当館ホームページにて。


Information
北九州国際漫画祭2017

【会場】 
 北九州市漫画ミュージアム 企画展示室
 (あるあるCity5F)

【開催期間】
 12月23日(土・祝)〜2018年1月21日(日)

【開館時間】
 午前11時〜午後7時
 (入館は午後6時30分まで)

【休館日】
 12月31日(日)〜1月2日(火)
 1月9日(火)・16日(火)

【入館料】
 無料

【お問合せ】
 北九州市漫画ミュージアム
 093(512)5077
 http://www.ktqmm.jp/