劇団C4『三日月探偵社CASE FINAL〜下弦の月〜』

演劇

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さまざまな場所で、「劇的」に。

2017.8月号

演劇hiroba
演劇の街は、いま 
大塚恵美子演劇事務所 
代表 おおつかえみこ

 5月から7月にかけて、北九州のさまざまな場所で起こった“劇的”な出来事をご紹介しよう。
 小倉北区にあるカフェ「engel」では「金銀銅」が第1回公演『金銀銅コンと』(5月26日〜28日)を上演した。
 この「金銀銅」は、藤松妙子・中川裕可里・飯野智子の3人の俳優によって結成された演劇ユニットだ。「じあまり。」「飛ぶ劇場」「大体2㎜」など地元劇団、ユニットで活躍する彼女たちだけに、今回の旗揚げ公演は、有門正太郎(有門正太郎プレゼンツ)・宇都宮誠弥(宇都宮企画)・寺田剛史(block)・藤原達郎(大体2㎜)・渡辺明男(バカボンド座)など豪華な顔ぶれによって書き下ろされた短編作品集となっている。劇団の壁を軽々と飛び越えて表現を楽しむ彼女たちの今後の活動に注目したい。
 同じ週末、北九州芸術劇場中劇場では、「劇団青春座」がリリー・フランキー原作の『東京タワーオカンとボクと、時々、オトン』(5月27日・28日)を上演した。今回で229回公演。まだまだチャレンジは止まらない。

劇団青春座『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』チラシ


 さて、八幡では、「枝光本町商店街アイアンシアター」で『木寺一路VS石井則仁「〜おどりてとりて〜」』(6月16日)が上演された。
 北九州芸術劇場のリーディングセッションやプロデュース公演の舞台写真撮影、他にもさまざまなアーティストとのコラボレーションを展開している写真家、木寺一路と、山海塾の舞踏手、石井則仁が舞台の上でセッションするという異色企画だ。写真と舞踏という全く違うように思えるジャンルが溶け合うさまは“舞台芸術”の奥行きの深さを十二分に感じさせてくれた。
 「響ホール」では『響ホールフェスティヴァル2017 オペレッタ「天国と地獄」(コンサート形式ダイジェスト版)』(7月9日)が上演された。「飛ぶ劇場」の泊篤志が構成・脚本・演出を担当し、オッフェンバックの有名な作品をより身近に感じられるものに仕上げた。オペラ歌手と共演する俳優陣も、木村健二(飛ぶ劇場)、田坂哲郎(非・売れ線系ビーナス)、今村貴子(イマ☆タカDance Family)、寺田剛史(飛ぶ劇場)など、演劇ファンが大喜びしそうなラインナップだ。
 劇場以外でも興味深い動きがあった。インターネットの世界である。2017年3月に北九州芸術劇場で行われた『劇トツ×20分2017』で優勝した長崎県諫早市を拠点に活動している劇団「劇団ヒロシ軍」が、応募条件である“優勝したら、北九州芸術劇場小劇場で公演を実施すること”を実現するために、滞在費や情報宣伝費などの資金を集める“クラウドファンディング”企画を立ち上げたのだ。
 調べたところ、クラウドファンディング(Crowdfunding)とは『不特定多数の人が通常インターネット経由で他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うことを指す、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語』とある。「劇団ヒロシ軍」では、Tシャツやポストカード、オリジナル絵本、出張公演などのリターンを用意して出資を呼びかけた。結果、50万円の目標のところ、6月5日現在、63万2000円の支援が集まっているようだ。インターネット世代の新たな劇団制作の形なのかもしれない。
 今後の予定としては、9月に若松の「旧古河鉱業若松ビル」にて、「劇団C4」が『三日月探偵社CASE FINAL〜下弦の月〜』(9月22日〜24日)を上演する予定だ。

劇団C4『三日月探偵社CASE FINAL〜下弦の月〜』


 まちなかのカフェから、芸術劇場、音楽ホール、小劇場、インターネット、そして国登録有形文化財まで。さまざまな場所が劇場になり「劇的」な出来事が起こる。北九州に住んでいてよかったと思う瞬間である。