北九州モノレール

演劇

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北九州芸術工業地帯 モノレール公演「はなれても、燈― 聖なる夜のひみつのツアー ―」

2017.11月号

CulCul特集
北九州芸術劇場
広報係 松本京子

日常が非日常になる瞬間

 北九州芸術劇場では、商店街や船上など劇場という『箱』から飛び出し、普段あまり芸術と接点がない人にアートの魅力や面白さを感じてもらう企画を実施している。そのひとつが今年で4回目となる、走るモノレールの車内で演劇を上演する「モノレール公演」である。
 北九州モノレールは1985(昭和60)年運行を開始した日本初の都市型モノレールで、現在では北九州市民の生活の一部として根付く交通機関である。通勤通学に買い物にと毎日利用している人も多い穏やかな日常風景が、期間限定で、見たことがない不思議な走る劇場へと変身する。

北九州モノレール

 
 物語は小倉駅をスタートし終点の企救丘駅で折り返し、再び小倉駅に戻ってくるまでの計60分の中で展開される。照明や音響はもちろん、車内アナウンスに駅のホーム、車窓の景色までも使った、まさに「ここでしか体験できない」作品を上演する。昨年は「近未来時空ツアー」という設定で、観客はツアー客として乗車。役者扮(ふん)するガイドたちの案内で200年後の未来の旦過市場や平和通りを旅していたが、突然鳴り響いた1本の車内アナウンスによって事態は思わぬ方向に展開していく……
 過去3作上演し、全ての作品で共通して描いているテーマは『生と死』。車両が起点から終点へ向かい走る姿や、夕暮れに出発しだんだんと闇夜へと移ろいゆく景観を、生から死へ歩む姿に見立てている。だがしかし、物語は終点で終わらない。終わりだと思っていた終点で登場人物たちはそれぞれの『燈(あかり)=希望』を見つける。すると車両は折り返し、再び「生」に向かって力強く走り始める。帰りの道中、真っ暗だと思っていた夜の帳(とばり)の中できらきらと煌(きらめ)く日常の街の灯(あか)りが、不思議と希望の光に見えてくる。

Ⓒ重松美佐

 
 本作品の乗客は演劇ファンだけにとどまらず、通りすがりにふらりと観劇してくれる“一見(いちげん)さん”が多いのが特徴だ。通勤でモノレールを毎日利用し「実はずっと気になっていたのよ、今回やっと乗れるの」とうれしそうな女性や、偶然通りかかった若いカップルが「面白そうだから乗ろうかな」と、観劇券と乗車券を購入し、ワクワクしながら改札口を抜けていく。その姿を見るたび感動し、同時にこの企画が徐々に街に浸透しつつある手応えを感じている。
 物語が終わり、幕が閉じた後、乗客はそれぞれの日常へと戻っていく。後日、通勤や通学で再びモノレールに乗車し、ふっと車窓から街の景色を見た瞬間、幻のようなこの体験を思い出すかもしれない。そして「今、自分の隣にいる人が未来人だったら」「この街の200年後はどんな景色だろう」と自由に空想を巡らせる。日常と非日常が“モノレール”という空間で溶け合うことで、無機質で退屈だった日常が色を持ち、少しだけ毎日が楽しくドラマチックになる。そんなきっかけを提供できていたらとてもうれしい。

Ⓒ重松美佐


 さぁ、第4弾となる今回はクリスマス号。聖なる夜空を特別な空中列車が駆け抜ける。今年はどんな物語を皆さんにお届けできるだろうか。気になった方はぜひ乗車して、不思議なツアーをお楽しみいただきたい。



Information
北九州芸術工業地帯
モノレール公演「はなれても、燈 ―聖なる夜のひみつのツアー ―」

【公演日程】
 12月22日(金)~24日(日)
      22日(金)午後6時36分
           23日(土)午後4時36分・同6時36分
           24日(日)午後7時36分
                              (計4公演)

【料金】
   1500円
   ※車両指定
   ※当日500円増
   ※別途乗車料(大人620円/子ども320円)を当日改札にて支払い

【チケット発売】
    10月22日(日)発売開始

【お問合せ】
    北九州芸術劇場 
    093(562)2655