演劇

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高校生の描く世界

2018.1月号

演劇hiroba
演劇の街は、いま 
大塚恵美子演劇事務所 
代表 おおつかえみこ

 

 私がワークショップでよくやるエクササイズに「ステータス」というのがある。トランプのカードを1枚引き、それが自分の演じる人物の「ステータス=地位・身分・状態」となる。数の多い方がステータスが高い人、少ない方が低い人、という設定でシーンを演じる。
 これを中高生と一緒にやると、かなり奥の深い活動になる。「ステータスが高い人」とはどんな人か。例えば社会的地位も高く名誉もお金もあるが性格に難があり誰にも信用されない人と、社会的地位は低く貧乏だけれど誰からも愛され、大切にされる人と、どちらがステータスが高いだろう。自分はどんな判断基準で他人のステータスを考えるだろう。そして、自分に対してはどうだろうか。シーンを創り、それを分析し、ディスカッションしていくと、今の中高生がどんなやり方で自分の「ステータス」を模索しているのかが分かる。
 10月26日~28日に「黒崎ひびしんホール」で行われた『高文連演劇部門北九州地区大会』では、そんな高校生の目を通した世界がさまざまに描かれていて、興味深かった。
 今年の参加校と作品は以下の通り。
○戸畑高校『さいえん』
○門司学園高校『花と死神』
○八幡高校『織田家のオムライス』
○小倉商業高校『大乱闘キラメキGirls』
○八幡南高校『夕暮れ時の夢』
○ひびき高校『MOTHER』
○西南女学院高校『ジョバンニの切符』
○東筑高校『JK オ・レ』
○小倉高校『カワイイ女』
○中間高校『夢寐(むび)にも忘れない〜8時13分発◯◯行き列車が発車いたします〜』
○折尾高校『季節はずれの花が朽ちる前』
○明治学園高校『きらきら 2017』
○北九州高校『君がくれたもの』
 「優秀賞」に八幡高校・ひびき高校・明治学園高校、「創作脚本賞」に小倉高校、「舞台美術賞」に西南女学院高校、「奨励賞」に東筑高校が選ばれた。

ひびき高校『MOTHER』

 

明治学園高校『きらきら 2017』

 

小倉高校『カワイイ女』


 北九州地区は毎年、生徒の書いた作品の上演が多い。今年大会審査員を務めた「飛ぶ劇場」の木村健二は大会を振り返ってこうコメントを寄せてくれた。
 「参加13校中11校が生徒創作作品で、その作品群から今の彼らの“切実”が見えてくる。結果的に優秀賞に選ばれた作品は今の社会との繋(つな)がりが強い作品となったが、これは、俳優、演出、完成度などの他のファクターも加味した総合力で選んでいる。
 だから、このテーマは勝てないとか(実際にそんなことはないので)余計な事を考えずにどんどん創りたいものを創ってほしい。ちなみに年明けに北九州芸術劇場で上演される予定の、奨励賞に選ばれた東筑高校『JK オ・レ』はそんな彼女たちの切実を最も色濃く描いた作品の一つである。より一層のブラッシュアップをして素敵な公演にしてくれることを期待している」
 私もまったく同感だ。大人から示唆されたものでない、高校生自身の目線でとらえた物事のバランス=ステータスは高校時代にしか表現できないものだ。それがまっすぐに描かれた作品に出合うと正直「やられた!」と思う。そして、そこから何かを学ぶ心を持つ謙虚なオトナでありたい、と思う。