Ⓒ重松美佐

演劇

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北九州芸術劇場プロデュース 『彼の地Ⅱ~逢いたいひ、と。』

2018.2月号

CulCul Topic
北九州芸術劇場 
広報係 松本京子

 

人が生きて、街が動く。

 北九州芸術劇場では2008年から第一線の劇作家・演出家を迎え、北九州をモチーフにした脚本内容の作品を創作している。2月に上演する記念すべきシリーズ第10弾のタイトルは『彼(か)の地Ⅱ~逢(あ)いたいひ、と。』。人間讃歌(さんか)の群像劇として多くの反響を頂いた『彼の地』(2014年初演・2016年に再演)に続く新作公演である。作・演出を務めるのは前作に続きKAKUTA・桑原裕子。2014年鶴屋南北戯曲賞受賞、春からは“穂の国とよはし芸術劇場PLAT芸術文化アドバイザー”就任など、今、最も熱い注目を集める彼女が、多田香織(KAKUTA)、そして九州出身者をはじめとするオーディション選抜俳優陣ら19人と共に、1カ月間この街に滞在し、新たな「街と人」の物語を紡いでいく。「日常と地続きの別世界」をキーワードに、さまざまな境遇に生きる人々が、ささやかな日々の中で一歩踏み出す姿を普遍的な人間ドラマへと昇華する作風が高く評価されている桑原裕子。そんな彼女が手掛ける本作品は北九州でひたむきに生きる人々を描いた群像劇である。
 この街にはたくさんの人が暮らしている。他所(よそ)からやってきた人、街を出て行く人、帰ってきた人、この街にずっと留まる人……。生まれてからずっとここに生きているけれどもどこか居心地の悪さを感じている人がいたり、初めてこの北九州にやって来て、誰も知らない土地で馴染(なじ)めるだろうかと不安に感じる人がいたり、きっと一人一人が他人からは見えない想(おも)いを抱えて生きている。そんな人たちに“一人じゃない”“この街に、この場所にいていいのだ”と、自分の「今」と「いままで」を、そして何より「これから」をありのままに受け入れる強さを与えてくれる作品であると感じる。
 北九州の街を舞台にした物語だが、街に息づく人々が抱えるさまざまな想いは、きっとどの場所にも存在する普遍的なテーマである。彼らが目の前にいる人々や出来事と向き合い、時間をかけて受け入れようとするひたむきな姿を、桑原が暖かい(※)目線で一人一人丁寧に掬(すく)い上げた。だからこそ、『彼の地』は“ここが自分の居場所なのだなと思った”“涙が止まらなかった”と地域を越え県外や東京の人々の胸をも強く打つ作品になったのではないだろうか。

Ⓒトミタユキコ


 桑原はインタビューの中でしばしば「袖振り合うも多生(たしょう)の縁」という言葉を口にする。誰かが道端ですれ違いざまにハンカチを1枚落としただけで、何かが始まるかもしれない、そんな人のつながりに惹(ひ)かれてしまうと。些細(ささい)なきっかけで人と人が出逢う。それは瞬間的ですぐにほどけてしまうかもしれないし、ずっと続いていくかもしれない。もしくは途切れてしまって何年後かに、ふっと全く違う場所で思い出すこともあるかもしれない。この街のいたるところで日々起きている、そんな目に見えない小さなドラマの波紋が幾重にも重なり、互いに影響を与え合い、やがては街全体を動かしていく。さらに波紋は日々揺らぎ、形を変え、それに呼応するように街は決して止まらず変わり続ける。人がその地に生きることで、街が動くことをこの作品を観ていると強く感じる。「街の中にこそドラマはある」という桑原の言葉をふっと思い出す。

 2月、新たなこの街の物語が動き出す。だがしかし、それはすでに始まっているのかもしれない。あなたの住む街の曲がり角で、今色が変わった信号の先で、今からすれ違う誰かと。そしてこの街は今日も水の流れのように流動的に変わり続ける。目には見えない人々のドラマにより紡ぎ出される今の北九州の街の匂いを、そしてこの場所で確かに今日を生きる人々の姿をぜひ一緒に感じてほしい。舞台上のスポットの光の中のドラマは、もしかしたらあなたの物語かもしれない。

Ⓒ重松美佐


※執筆者の意図により「暖かい」と表記しております


Information
北九州芸術劇場プロデュース 
「彼の地Ⅱ~逢いたいひ、と。」

【公演日程】
 2月17日(土)~25日(日)
開演日時は2月17日土曜日午後2時30分、2月18日日曜日午後2時30分、2月19日月曜日午後7時、2月20日火曜日休演、2月21日水曜日午後2時30分アフタートークあり、2月22日木曜日午後7時、2月23日金曜日午後7時、2月24日土曜日午後2時30分、2月25日日曜日午後1時30分、会場は開演の30分前

【会場】
 北九州芸術劇場 小劇場

【料金】
 一般3000円
 学生(小~大学生)2500円
 高校生〔的〕チケット1000円
 ※全席自由 
 ※当日500円増 
 ※未就学児入場不可

【お問合せ】
 北九州芸術劇場
 093(562)2655
 ※チケット好評発売中