演劇

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“劇的”旦過

2017.6月号

演劇hiroba
演劇の街は、いま 
大塚恵美子演劇事務所 
代表 おおつかえみこ

 小倉に、新しい“劇的”スポットが生まれた。「スタヂオタンガ」(小倉北区魚町4の2の19)である。

 旦過市場の喧噪(けんそう)を味わいながら、ひょいと路地に足を踏み入れると発見できる、かなりレトロな建物だ。築50年を超える空き店舗を改装し、2階部分を演劇や音楽、写真展などさまざまな用途で使えるようにしたのだそうだ。公式フェイスブックには「旦過エリアのためにさまざまな創造的なコト・モノを創り出し、発信していくための場所」とある。
 改装といっても、古い家の佇(たたず)まいはそのままだ。梯子(はしご)と見間違えそうな細くて急な階段を上ると、30畳くらいだろうか(調べてみたら45平方メートルとのこと)、広いスペースがある。かなりの数の柱が立っているのも味わいの一つか。演出家の戦闘意欲を刺激する空間である。
 ここを使って、2月、3月にいくつか演劇公演が行われた。
 まずは、「北九州芸術工業地帯2017/旦過市場アーティストインレジデンス」『旦過語り物語』(2月10日・11日)。北九州芸術劇場が毎年行っている「北九州芸術工業地帯」の企画の一つだ。アーティストインレジデンスとは、創作者がある場所に一定期間滞在し、そこで作品制作を行うというもの。今回は「演劇関係いすと校舎」の代表で劇作家の守田慎之介が旦過市場に一週間滞在して、市場を取材、そこから短編戯曲を書き起こし、立体化して発表した。

「演劇関係いすと校舎」 『いす校の短編集』写真

 また、この「北九州芸術工業地帯」の関連企画で、北九州劇団代表者会議主催の「ぶらり♪まちなか劇さんぽ」でも、このスタヂオタンガを使って公演を行った団体があった。 
 「ブルーエゴナク」『あるはなし』(作・演出:穴迫信一/2月22日〜26日)と「演劇関係いすと校舎」『いす校の短編集』(作・演出:守田慎之介/3月11日)である。

「ブルーエゴナク」『あるはなし』写真:チづる(ブルーエゴナク)

 

 この2本の公演は、前述した「北九州芸術工業地帯」のミニレジデンス企画としても位置付けられ、作品にはその空間で練り上げた“余裕”のようなものも感じられた。また、観客との距離が物理的にも心理的にも非常に近い状態での公演となっていたように思う。 
 他にも、5月に戸畑工業高校演劇部が公演を行うなど、徐々にチラシでその名を目撃することも多くなってきたスタヂオタンガ。今後、新たな地元劇団の公演場所として使われていくようになるのか、注目していきたいし、期待もしている。 

 さて、最後にもう一つ別の話題を。「北九州劇団代表者会議」が『演出家3人による「俳優に必要なこと」ワークショップ』を6月25日に行う。2015年9月に「平成27年度北九州芸術劇場創造工房『演カツ!!』企画モデル事業」として北九州芸術劇場の協力の下に実施されたワークショップの第2弾だ。 
 北九州を中心に活動している演出家3人がそれぞれ90分ずつ担当し、演出をする際に大切にしていることなどを伝えていくワークショップだ。今回の講師は「劇団C4」の大福悟、「飛ぶ劇場」の泊篤志、「演劇関係いすと校舎」の守田慎之介。なかなか豪華な顔ぶれだ。    
 タイトルに「俳優に必要なこと」とあるので、まったくの初心者には難しい内容となるかもしれないが、対象は「中学生以上の俳優や演劇に興味のある方」なので、本気で演劇に取り組もうとしている人なら大丈夫だろう。1コマだけの受講も受け付けている。 
 時間や、申し込み先など詳細は「北九州劇団代表者会議ホームページ」をチェックしていただきたい。